2008年9月24日水曜日

「あとになれば、福田さんのスタイルが」と与謝野

 福田内閣が総辞職したあとで、この内閣の閣僚が感想を求められたのだろう。そのなかで、与謝野経済財政担当大臣が「あとになれば、福田さんのスタイルを懐かしむ人が、きっと出てくるだろう」と、いつものしゃがれ声でしみじみ話しているのをテレビで見た。

 私はこの発言に共感を覚える。衆参で、自・公と民主との間で、多数を占めている党が分かれているという難しい環境の中で、謙虚に、誠実に、けれん味なく、なんとか国民のための施策を一つでも実らせようと努めた政治姿勢は、かえって国民受けしなかった。が、その姿勢によくぞ徹していた。よくやっているなと、私は見てきた。

 最後の記者会見で、「人ごとみたい」との批判的質問に対し、「私は自分を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」とキッとなって言い放った。この人らしからぬ、上ずった気分を露わにしていた。自分の気持ちと、世間の受け止め方とのずれに、いらだったのだろう。あの段階で身を退くというのは、この人らしい、大人の決断だったのだが、気持ちは高ぶっていた。この人は大人だが、ひと癖も、ふた癖もある練れた大人というのではない。相手が自分と同じレベルの成熟した大人でないことに、ときには耐えかねて、皮肉を言ったり、ぶっきらぼうに答える、そういうタイプの人だ。それをわたしは理解する。

 福田さんが、そのような人であるということを、私は好もしく見ていた。時を得ず、このような乱世に、損な役回りでしたね。福田康夫さん。与謝野さんが言うように「そのスタイルを懐かしむ人が、あとになって」出てきますよ。きっと。

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