2014年5月10日土曜日

アンティキティラの機械

 ヨーロッパの各地(大聖堂、市庁舎など)に見られる天文時計のことを調べていた。検索記事で "Antikythera" という語をしばしば目にした。何とそれは、ギリシャ時代に精巧な天文時計が作られていたことをあきらかにした最近の考古学的発見のことだった。1901年にギリシャとクレタ島との間の小さな島(アンティキティラ島)沖で発見された難破船に積まれていた数々の宝物の中に、得体の知れない金属の塊があった。何であるかは1950年頃から調べられていたが、21世紀になって最近の3DーX線撮像技術など先端技術を使った国際プロジェクトによって、史上最古の天文時計であることがわかった。太陽や月の満ち欠けはもとより、日食、月食まで予告できる機能があったという。19、53、235などという半端な数の歯車が使われている。そんな金属加工技術が当時あったということに驚く。

まずは、以下の Youtube をごらんになっていただきたい。英語のサウンド付きだが、日本語字幕が着いている。

「アンティキティラ島の機械」https://www.youtube.com/watch?v=GaR4L6WL8jo&feature=share

これでおよそのことが掴めたら、詳しく説明した日本語Wikipedia
をご覧いただくといい。
 さらに、これについてはNHKの「地球ドラマティック」が、2014年3月下旬に『アンティキティラの機械』で取り上げている。私は関心もなく見過ごしたが、Youtubeに3部に分かれて収録されている。第1部のリンクを書いておけば、そこから続きを見るのは容易だろう。
 https://www.youtube.com/watch?v=hL3qCKbNpSw

 もともとアルキメデス(紀元前3世紀)が、その原型を作ったと伝えられる。その後ヘレニズム世界のどこかでこの機械が製造され、ローマ時代にそれが貿易だか供物として船に載せられ,その船が嵐で難破したことで現代に甦った。まことに数奇な物語だ。この技術は(学問体系を含めて)ヨーロッパ世界に直接伝わることなく、イスラム世界で伝承され、近代ヨーロッパはイスラム世界を通してそのこと学びとったのだった。天文時計の原理と技術は、アルキメデス→ヘレニズム→イスラム→ルネッサンス後ヨーロッパというルートで伝わったようだ。
 ついでに書くと、十数年前、私はアンティキティラ島のギリシャ本土よりの島、キティラ島を訪れたことがある。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の母親の生まれ育った地だ。
 以下にその時の記録がある。フォーム形式でホームページを作っていたので,直接のリンクを貼りにくい。以下のリンクをクリックして出てくる左コラムの目次で16節をクリックしていただきたい。

16. キティラ島  観光から忘れられた島、そこに小泉八雲のゆかりが
http://homepage2.nifty.com/aquarian/Travel/Travel1/Trvl1hd.htm
 気楽な身、美しい5月の一日,好奇心のおもむくままに、この話題で過ごした。