2008年9月22日月曜日

平和護持を再編の軸に

 TBS日曜朝の「時事放談」は、ハト派的政治家がよく用いられる政治番組だ(中曽根、森ら元首相も出るが)。朝のウォーキングの時間にかち合うので、録画して視聴する。昨日朝(08/9/21)は、自民党OBの野中広務と民主党の藤井裕久とがゲストだった。二つの話題が私には興味深かった。

 一つは、麻生首相になったときに、アジア外交がうまくいくのかをふたりとも心配していたことだった。韓国との関係では、麻生がかつて創氏改名について失言した前歴があること、対中国でも、台湾寄りの姿勢をこれまでとってきたことなどが問題らしい。自民党は妙な政党で、外交の基本姿勢などはイッシューとせずに、総裁選びをしてしまう。小泉→安倍→福田という交代劇で、外交姿勢は際だってスイングした。外交こそ一貫性が大事だが、そこを問題としない。総裁選で政策が議論されているが、かつてあれだけ麻生嫌いに走っていた同じ党が、今度は雪崩をうって麻生支持に回っている。じつは政策など問題ではないのだ。選挙に勝ち、与党であり続けることがいちばん大事なことらしい。そのために候補は、選挙受けする政策を並べる。麻生氏が、この時期に、後期高齢者医療制度を見直すと節操なく言い出しても、頓着しない。

 もう一つは、選挙の結果次第であるかもしれない政界再編について、野中が、平和を大事にすることを再編の軸とすることに、期待を表明したことだ。近頃の若い政治家世代の一部には、平和の大切さをいうより、他国と強硬に事を構えようとする傾向がある。そのことを野中はおおいに憂いているようだった。平和を大事にする、ナショナリズムを煽らず、アジアの近隣の国々と軍事的に対立しない道を追求する。そのような勢力の結集をはかることで政界が再編されることを期待したいということだった。藤井もそれには賛意を表していた。

 社会保障を中心に将来の国のあり方をどうするのか。そのために年金、医療、介護制度などをどうするのか。財政をどうしていくのか。税制は? そのあたりが政策上の対立軸になって、再編が行われるのだろうと思いがちだ。その点では自民も民主との間で、政策上の色分けは判然としない。せいぜい手法が違うという程度だ。そのような政治状況の中で、戦争体験世代である野中は、平和を追求する外交姿勢が、他の政策課題に優先されて考慮されるべきだ、といいたいようだ。自民の一部よりはるかにタカ派的で、改憲に積極的に取り組もうとする政治集団が、民主にいる。逆に、自民には9条の原則を護持しようとする政治家がけっこういる。もし政界再編がありうるなら、東アジアにおける平和を重視し、憲法9条を大事に考えることを軸にしてほしいという野中の心情は、同世代としてたいへんよく分かる。

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