2008年10月7日火曜日

ノーベル物理学賞、日本人3人に

 今年度のノーベル物理学賞が発表され、日本の物理学者3人に与えられた。まずはめでたい。南部の受賞のうわさは、ずっと前にこの時期になるとでていたことがあったが、そのうちに立ち消えになっていた。そこにこの受賞である。何で早くくれなかったのかと文句をいいたいところだろう。小林−益川は、やはり十年ほどから数年前に騒がれていた。発表時期に記者が集まったりしたと聞いた。南部の仕事は50年前のもの、小林−益川のは、35年前のものだ。理論だが、その正当性は理論屋の間ではとっくに確立していたし、実験で最終確認がおこなわれたのはだいぶ遅れたが、かなり前だ。どう見ても時期遅れの受賞だ。物理はずっと先に進んでいるからと、受賞者たちはインタビューでは、いささか困惑気味のだった。まあ、ノーベル賞はそんなこともある。それでもめでたいし、日本の若い人たちにいい影響を与えることだろう。

 この時期になると、誰が受賞するか、話題になる。新聞でもあれこれ予想を立てていた。物理学賞は、どちらかというと時節柄、ナノテクノロジー関係のテーマを追っていた。基礎物理の分野、素粒子や宇宙物理という分野は、行き詰まり気味で、新しいブレークスルーがない。これについては、Memorandum のほうで話題にしたことがある(『迷い道にいるのか、物理学』〈08/1/22〉)。極端に言う人は、ここ2,3十年、画期的な発見がなされていないという。その事情から、35年とか、もっと前の業績に光が当てられたのだろう。けちをつけたくないが、袋小路に入ってしまったその分野の行き詰まりぶりを反映した受賞のような面がある。

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