2008年10月5日日曜日

ハーゲン弦楽四重奏団を聴く

 オーストリー・ザルツブルクからやってきた兄妹四重奏団、ハーゲン弦楽四重奏団のコンサートへ行ってきた。水戸の芸術館のコンサートホールで行われた。ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を3曲。中でも第14番(作品131)が、素晴らしくよかった。音が澄んで美しく、最弱音が心に響いて聞こえる。そしてフォルテになると、女性が混じっている四重奏とは思えない盛り上がった音を響かせる。14番は、ベートーヴェンの曲の中でも愛好しているものの一つだが、これまで聴いた中で最高の感動を与えてくれた。ほかに彼の生涯最後の曲、第16番と、40歳のとき、失恋した直後に作曲したといわれる第11番。ドイツ系らしい端正な音だった。

 この四重奏団は、もともと兄妹4人で結成され、84年にザルツブルク音楽祭でデビュー、大成功を収め世に出た。一人がソロ演奏家となったので、第2ヴァイオリンに兄妹外の人が入っているが、もともと音楽一家らしい息の合い方で、他にないハーモニーを産みだしているのではないか。今回は何回目かの来日で、先月(9月)29日から、東京で3回、あと横浜、静岡、大阪と、連日の演奏会のあと、最後に水戸にやってきた。水戸には2度目である。

 会場には、水戸芸術館の館長を務める吉田秀和氏が、元気な姿を見せていた。95歳になるが、水戸芸術館での主なコンサートには、お嬢さんであろうか、付き添いの方とともにやってきて、中央後部のシートで聴いている。水戸にとってはもったいない人だ。しかしおかげで、水戸は地方でも有数の音楽のセンターとして質の高い音楽に居ながらにして接することができる。

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