【ペンケン山ハイキングコースから谷の向こうの山の連なりを見る】
ツィラータール二日目の朝は、谷は朝靄がところどこにかかっていましたが、その上は青空に綿雲が浮かんでいる程度です。今日は午前中から晴れると、勇んでハイキング態勢を整え、ホテルをチェックアウトしました。こういう一泊二日のハイキング行での問題は、宿泊に伴う旅支度を全部リュックに背負ってハイキングに出かけなければならないことです。荷物をホテルに預ければいいのですが、帰りに寄るのが面倒なのです。鉄道で別の駅に行ってハイキングをし、そのまま一気に帰りたいのです。
ツィラータール鉄道で終着駅のマイヤーホーヘンまで行き、ペンケン山頂のなだらかなハイキングコースを歩くのが今日の予定です。マイヤーホーヘン駅から街の中心部の商店・ホテル街を歩き、ペンケンバーンの駅まで15分程度あるきました。観光客は、僕らが宿泊したツェル・アム・ツィラーよりずっと多く、賑わっているようでしたが、それだけ観光地化・俗化していると見ました。宿泊地の選択は当たりだとニンマリしました。
ゴンドラの発着駅に近づくと、町の真中から山にへ向かって鋼鉄ワイヤーが掛けられていて、沢山のゴンドラが上へ下へと動いています。その先は雲の中に消えています。そのロープの長そうなスパンといい、急角度であることといい、先が見えないことといい、怖いようでした。
【マイヤーホーフェンの町中の発着所からペンケンに登るゴンドラ】
昨日乗ったゴンドラは8人乗り、今日のは15人乗りでした。空車になったゴンドラが乗り場をゆっくりと回って来ます。それに乗り込むのに妻は緊張気味でした。ロープに噛んで動き始める時に大きく揺れます。こちらに来て椅子式のリフトを、それも30分以上も乗る長いのを経験したので、だいぶ慣れて来たとはいえ、妻はこの手の乗り物は苦手のようですが、覚悟を決めて無言で乗り込みました。乗り込んだゴンドラがたまたま、外周の前後がプラスチックガラスではなく、金属の網目のものでした。外気がすうすう入ってくる、鳥籠のようなものです。これには参ったようです。何基かのゴンドラの中にたまに鳥籠方式のものが混じっていることが、行き交う下りのゴンドラ見て分かり、帰りには絶対にこれには乗りたくないと言っていました。
さて、ゴンドラは雲の中に消えて行きます。その先はどうなっているのか、不安と好奇心と入り混じりましたが、何のことはない、薄い霧がかかったような層を抜けると、パッと天上の世界が広がり、周りの山々がパノラマのように見えて来まし。素晴らしい光景です。間もなく一つの山の背の支柱を越え、谷を渡り、中継駅に着きました。少し歩いて上のゴンドラの駅からさらに乗り継いて、標高2005mのゲシェスベルクに着きました。発駅の標高が定かではないのですが約650mとすると、およそ1350mをゴンドラで登ったことになります。
ここからはなだらかな高台の上のハイキングコースで終点のペンケンが2095mですから、ほとんど登りとは言えないコースです。それも早足なら30分ほどで行き着く楽なコースです。周囲の山並みや花畑を楽しみながら、ゆっくり歩きました。ペンケン山は山頂がどことも言えない平らな高原の広がる山でした。
【ハイキングコースにはこんな花畑が広がっていた】
(ここまで書いたところで中断し、何日も経ちました。それからあれやこれや、いろいろとあって、もうその時のことが思い出せないほどです。さっさとお終いしましょう)
この日はとてもいい天気で、ハイキングを楽しみ、パノラマレストランでの昼食(当然ヴァイス・ビールと、妻にはラドラー付き)を賞味し、下山しました。帰りは終点のマイヤーホーフェンから乗り換え駅のイェンバッハまでツィラータール鉄道に乗り、インスブルックに帰着しました。一晩外泊して、ホテルの自室に帰り着いた時には、ただいま帰りました、と思わず言いたいほど、ホテルが自宅のように思えたのでした。
はじめての自主計画の遠出でしたが、行ってみたツィラータールは、実に良いところで、それから何度もあちこちの山に遠出することになりました。
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