2009年1月2日金曜日

無教育が強みだったとクラゲの下村、新聞スクラップ(8)

朝日新聞(08/12/26-31)

学会大嫌い クラゲ発光追究、自分で考えること 一番信頼できる(化学賞受賞 下村脩さんに聞く、08/12/30「明日を考える」)
ー すでに多くを伝えられているが、詳しく教育歴・研究歴を語ったあと、このように書いている「僕はアマチュア化学者だ。ちゃんとした型にはまった有機化学の教育を受けていないが、そこが強みでもある。ほとんどが独創で、自分で考え出した。先生から教えられていないから、先入観も最小限なのでよかった。一番信頼でき安心できるのは自分で考えること。人の意見を聞くと、それが間違っていても、考慮しないわけにいかない。だから学会へ行くのが大嫌いだった」。同じようにして成功する例はごくごくまれだろうが、こういう研究歴もある。

トヨタ裏目の拡大、頂点狙い手堅さ失う、次期社長「原点復帰」(08/12/26 経済)
トヨタ赤字 苦しむ海外販売、傷口拡げた机上の策(08/12/27 経済)
ー トヨタがなぜ巨額の儲けから、赤字へ転じたか。自動車産業そのものが過去の産業モデルになりつつあるとの意見もあるが、経営判断のミスもあったようだ。

自治会衰退「負担いとわぬ市民社会を」、独自課税地域再生に有効か (08/12/26 経済)
ー 地域の自治会への加入率が落ちている。地域の防犯灯の保守費・電気代など、自治会費で賄われる費用の負担を拒んでいることになる。対策として地方自治体独自の税金を新設しようとしているところもある。法定外税とか超過課税(横浜みどり税がその例)といわれるものだ。それへの賛否が問題とされている。片山善博前鳥取県知事は、地方自治体が税率を自由に変更できるようにすべきだと主張する。

オバマ氏支持率82%、閣僚人事は56%が好感、米CNN調査 (08/12/26 国際)
ブッシュ大統領退任「うれしい」75% (08/12/27 夕)
ー 当選後の人事の順調さや経済対策への期待などで、さらに支持率が上がっている。不支持は15%。ブッシュ大統領の一期目の就任前支持率は65%、クリントン前大統領の場合67%だった。飛び抜けて全国民的支持を受けている。これからがたいへんだろう。ブッシュ大統領の退任を米国民の4分の3が「うれしい」と歓迎している。「良い大統領だった」とする人が31%、「お粗末な大統領だった」は40%、歴代大統領と比べて「史上最悪の大統領だった」との回答も28%。不人気のブッシュが去り、30年来の高支持率のオバマの登場。高すぎる数字は必ずしもいいことではない。拮抗する批判勢力の存在が必要かと。

1人あたりGDP 日本19位、07年 OECD30カ国中 80年以降で最低 (08/12/26)
ー 07年当時はユーロ高で相対的に沈んでいるとはいうものの、最近の円高を考慮に入れても、10位までのヨーロッパ諸国には及ばない。今後の経済成長もあまり望めない。数字、順位としては、この程度の国でいいのではないかと私は考える。GDPではなく、真の豊かさや福祉の度合を表す別の指数での向上をめざしたほうがいい。どういう国をめざすのか、国民的議論が必要だろう。

・チョウ「アサギマダラ」 中国への旅 初めて確認 (08/12/27 夕)
ー 08/12/11付けの新聞スクラップ(『蝶の長旅』)で紹介した岐阜から奄美への渡り確認に次いで、今度は石川県輪島市から中国浙江省までの160キロの渡りが確認された。じつは06年のこと。

大河「篤姫」人気の秘密は (08/12/28 文化)
ー 各界100人の人に聞くというシリーズものの記事。私が興味があったのは、毎回のように見た:17人、見たころがある:30人、に対し、見たことはない:41人もあること(私もそう)。その理由は「テレビをほとんど見ない」、「大河ドラマなるものに興味がない」、「ドラマは歴史人物を多様に解釈する楽しみを奪う」など。さらに「デフォルメされて現実離れした『美しく感動的』場面」で、「画一的イメージ」がつくり出され、共有されることに違和感を感じること、などが指摘されている。私は大河ドラマを見ない。理由は、日曜日のあの時間にテレビに縛られたくないから。

レトリックか「やさしい心」か オバマ演説に学ぶ (早野透、コラムニスト。08/12/29 オピニオン)
ー オバマの演説について、そのレトリックとか演説技術の巧みさなどをいう意見が多く見られる。しかし早野はそれだけではないだろう、むしろ語る内容が人々の心を打つ。一つは「やさしさ」、もう一つは「国民の統合」。日本の政治家が「オバマに学ぶことがあるとすれば」、「イメージやレトリックよりも」、「真に国民に寄り添っていこうとする政治の精神」だと指摘。

学生の価値高める(金沢工業大学 石川憲一学長、「学長力」シリーズ 08/12/29 教育)
ー 金沢工業大学は、学生を「育てる」ことを重視し、成果を上げている。他大学からの評価が高い。学長へのインタビューで、この大学が学長を中心にいかに「教育重視」で、さまざまな工夫をしているかが熱く語られている。高校までの学習不足を補う個別指導のためのセンター、学生がプロジェクトを提案して認められると予算が付いてスペースや設備が使える「夢考房」など。「学生にここまで手を焼いてあげる必要があるのか」との質問に、今の大学は昔のとはずいぶん違う、受け入れた以上全面的に責任を持って、学生の付加価値を上げる教育に力を入れると。14年も学長をしているという。ひとりのリーダーの熱意が大学を変える。

リアリティーに飢える人々、空気の「濃い」時代から「薄い」時代へ(見田宗介さんに聞く、「明日を考える」シリーズ 08/12/31)
ー 著名な社会学者見田が、秋葉原事件を論じている。68年の永山則夫・連続射殺事件とあわせて考えるとき、二つの事件の共通部分以上に、核心部分が対照的に違うと。秋葉原の事件の背景に、個人にとっての「未来の消滅」があること。もう一つは人々の「まなざし」の不在。タイトルにあるように、空気が「濃い」から「薄い」へ、すっかり変わってしまった。共同体としての空気が薄くなりすぎた時代に、生のリアリティを得ようとして、自らを傷つける人もいれば、こんな事件でリアリティの飢えを晴らそうとする人が出てくる。これからの時代、若者たちが生きるリアリティをどこに見つけるか。

0 件のコメント: