2009年1月9日金曜日

希望は女性にあり、吉田秀和×丸谷才一(切抜9)

(朝日新聞09/1/01-07)

新春対談 吉田秀和×丸谷才一「希望は女性にあり」(09/1/01)
ー 文学でも音楽でも女性の進出が著しい。文学では女性の方が「エネルギーが豊富、新しい領域」を描けている。男は繰り返しばかり。それでいて「女性には思想がない」などといっている。人類の歴史は6千年にわたって父権社会が続いた。今それが母権的時代に転換しつつある。「男が縮こまってきた」。政治の世界もそう。「総理がこんなにしょっちゅう代わってるなら、男でなくていい」。95歳の吉田と83歳の丸谷の方が先が見えているようだ。

09年の政界、大胆に占うと(09/1/01)
ー 造反(1月中旬)→「3分の2」割れ(1-4月)→自民分裂(1-4月)→話し合い解散(4月〜)→自民総裁すげ替え(4月〜)→政権交代(自民下野)→予算編成(霞ヶ関と激突)→連立のきしみ→民主代表選前倒し(小沢電撃辞任)→衆参W選(10年)、だそうだ。今日のテレビでは、自民分裂、第2自民党誕生、選挙後ふたつの自民党の連立、などというシナリオも出ていた。

「戦後」乗り越える強い首相を(御厨貴、09/1/03 「私の視点」)
ー 吉田後、岸に始まる歴代の首相は「戦後からの脱却」をうたってきたが、いまだに乗り越えられずにいる。政権交代が見えてきた次の選挙は、最終的な戦後脱却のきっかけになるかもしれない。そのためには、これが戦後を終わらせるための選挙であり、政権交代だとはっきり示せること。たぶん一度の選挙では変わらないだろう。最終的に「強い首相」を創り出す必要がある。長期に政権を担い、これまでの政治慣習から解放された政治形態を創り出し、新しい飛翔を可能にするような。たぶん日本にもオバマをという期待だろう。そんな人材が政界にいるのだろうか。

利益追わぬ投資を、グラミン銀行ユヌス総裁に聞く(09/1/06 1面、及び、アジア欄)
ー ユヌスはマイクロクレジット(貧しい人々の自立を促す無担保少額貸し付け制度の発案者、06年ノーベル平和賞受賞者)。金融危機の最大の被害者は、30億人の貧困層。利益の最大化を目的とするビジネスだけに市場を使ってきた経済システムの再設計が必要。アジアが持つ「無私」の伝統を市場に持ち込めば資本主義は完成すると。具体的にはソーシャル・ビジネス(社会的企業)を提案。社会貢献を最優先する企業モデル。特定の社会問題の解決を目的にした企業に投資。利益配当を求めず、社会貢献したとの満足感を見返りに。企業の利益は元本の返済だけ、あとはビジネスの拡大に再投資。すでにフランスの企業などから投資を得て、栄養価の高いヨーグルトの販売、安全な飲料水の提供などを目的とするソーシャルビジネスが動き始めている。

シリーズ「感情模索」(09/1/01- 文化欄)
ー これは、私ら最近の世相が理解しがたい旧世代に、今という時代を多少分らせてくれて、面白い。これまでの分のタイトルだけ記しておく。
(1)ぼやき・毒舌・刹那の快楽、否定の言葉に浸りたい(09/1/01)
(2)社会に絶望「リセットだ」、滅びた後の「平等化」期待(09/1/03)
(3)共感したくて「キラキラ」、生きづらさの中を生きる(09/1/04)
(4)背伸びは嫌「草食系男子」、現代に順応、文化うむ?(09/1/06)
(5)アラフォー世代 飽くなき欲求、幸せ探し「きっと・もっと・ずっと」(09/1/07)
読むと、いろいろな社会現象、世代像などにそれぞれ意味があり、主張がある(場合によっては無意味という主張も)ことが理解でき、自分らの価値観にもとづいて現代の世相を嘆くだけではいけないなと、悟らせてくれる。毎回添えられる安田佐智種の高所から見おろした高層ビル群の画像(合成だそうだ)も興味深い。

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