2008年11月9日日曜日

アフガニスタンとアフガン

 政治番組などを見ていると、「アフガニスタン」と国名をいうとき、「アフガン」と平気でいう人がいる。それも著名な政治評論家(たとえば森本敏)や政治家がそうだ。たぶん「アフガニスタン」といちいち言うのが面倒くさくて、省略形として口にしているのだろうが、これはずいぶん無神経だ。「アフガン」は「アフガニスタン」の省略形ではなく、「アフガン人」あるいは形容詞としての「アフガニスタンの」を意味する。テレビに出たり、時評を書いたりする人は、言葉を正確に使うように心がけてほしい。

 ちなみに、英語表記の国名/形容詞/国民名がやや特異な例をあげておくと、

Afghanistan/Afghan/Afghan(アフガニスタン)
Denmark/Danish/Dane(デンマーク)
Finland/Finish/Finn(フィンランド)
Germany/German/German(ドイツ)
Greece/Greek/Greek(ギリシャ)
Holland/Dutch/DutchmenあるいはHollander(オランダ俗称)
Iraq/Iraqi/Iraqi(イラク)
Netherlands/Netherlandish/Netherlander(オランダ通称)
Norway/Norwegian/Norwegian(ノルウェイ)
Philippines/Phillippine/Filipino(フィリッピン)
Poland/Polish/Pole(ポーランド)
Scotland/ScotchまたはScottish/Scot(スコットランド)
Spain/Spanish/Spaniard(スペイン)
Sweden/Swedish/Swede(スエーデン)
Switzerland/Swiss/Swiss(スイス)
Thailand/Thai/Thai(タイ)
Turkey/Turkish/Turk(トルコ)

 こうしてみると、国名としての「アフガニスタン」を「アフガン」というのは、このリストの最後の3者に似ている。しかし日本ではすでにアフガニスタンという国名が一般に使われているのだから、「アフガン」をタイやトルコと同列に使うべきではない。

4 件のコメント:

かたやま さんのコメント...

例えば今日(11月12日)の新聞にも「アフガン人」という記述がありました。アメリカ人を「アメリカン人」と言っていることと同じですね。政治家、評論家が省略の意味で気軽に使い始めたのかもしれませんが、正確な言葉を使うことを商売にするテレビ局のアナウンサーが、今や当たり前のように使っていることの方がより罪深いと思います。それともテレビ局側は、もう世の中に定着した表現と“認定”して使っているのでしょうか。

本題からずれますが、私が気になって仕方がない書き言葉に、テレビの美術番組でしばしばみかける「重文」があります。たしかに重要文化財の省略形として広辞苑にも記載されていますが、なぜ二文字ばかりを省略する(手を抜く)のでしょうか。新聞など紙面の制約がある場合は別として、書き言葉を省略して使うのは既に話し言葉として省略形が定着しているという“前提”があるべきだと思います。
美術界の内輪の言葉としては重文という言い回しが流布しているのかもしれませんが、一般社会で、例えばわれわれは、重要文化財の建造物を前にして「これはジュウブンです」とは言わないでしょう。私には、重文という言い方はいかにも軽い言い方で、重要文化財を大事にするという「心」がこもっていないように聞こえるのです。
気をつけて視ていると「テレビ東京」の美術番組では必ず重要文化財と表記し、むしろNHKでは番組によって混用がみられます。
(アクさんではありませんが私も2度クレイムしたことがあります)
私にとって不思議なのは高名な美術評論家たちがそのことに無関心なことです。

アクエリアン(略称:アク) さんのコメント...

かたやまさん

 日本人の省略癖と、それに安易に同調してしまう傾向は嘆かわしい限りです。
 かたやまさん指摘の「重文」は、業界ジャーゴンとして使われはじめたのでしょう。この手のジャーゴンは、それを知らない人を見くだし、仲間はずれにする、そんな底意地の悪さも感じます。情報通信分野での用語について同様なことを感じます。ひるがえって、自分の発言でも気をつけないといけないですね。
 最近の若者言葉から出てきた省略語(KYなどの例)が、あっという間に普及し、それをいい年をした大人が嫌悪感なく使っているのも、いやですね。
 若者文化はそれなりのことはあるのでしょうが、安易に迎合する大人も、それを歓迎する若者たちも、あさはかというか、おぞましくさえ思えます。

かたやま さんのコメント...

アクさん

ついでに、「アラサー」という言葉をアクさんはご存知でしょうか。私は最近雑誌「AERA」を読んでいて知りました。ただしその意味は、当たり前のこととしてどこにも解説していないので私はなんのことかわからず、googleで調べて知ったしだいです。around thirty、すなわち30歳前後の女性のことを言うファッション業界から発し、今や一般化した?用語のようです。そうしているうちに、アラフォー(around forty)と言う言葉も耳に入ってくるようになりました。

さらについでに、、、、、
アクさんのクレイムが効いたのか、国谷裕子氏は、前よりゆっくり、明確に話すようになったような気がしますが、いかがですか。
もともと彼女はアナウンサーではありませんが。

アクエリアン(略称:アク) さんのコメント...

かたやまさん

そうでした。「アラフォー」も問題でしたね。ずいぶん荒っぽい言葉です。「アラサー」もあるのですか。「粗さぁ」ですね。

國谷キャスターは、以前に比べてかなりよくなったとは思っています。ときどき地が出て、変なイントネーションにもどります。ずいぶんいろんな人に言われているのでしょう。NHK関連の人に聞いたこともありますが、あれこれの問題を器用こなせること、英語ができること、などで余人をもって代え難いのだそうです。